期待される効果について

期待される効果について

期待される効果について尋ねると、「学校に図書館車が巡回することにより、子供たちが本を読む機会が増え、識字率が向上する。」誰もがこう思うでしょう。

事実、その通りです。学校に図書館車が巡回したことにより、図書を利用した小学生英語の識字率は巡回していない学校と比較して、飛躍的に向上しました。これは1つの大きな成果です。

しかし、移動図書館車プロジェクト事業がもたらす成果は、単に南アフリカの生徒だけではないのです。

 

移動図書館車プロジェクトの成果は生徒の識字率向上が一番目立つ成果ですが、他にも色々な場面で期待される効果があります。

 

教師の教育指導レベルの飛躍的に向上できる

 

 

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生徒を授業で指導するのは当然教師です。しかし、多くの教師自身が子供時代に本に触れ合う機会がありませんでした。そして、6年間の義務教育と2年間の教員専門教育を受けて、直ぐに教師になった方が多く、多くの教師は計8年間の教育を受けただけで教員として働いています。

これでは、教師の教育指導力はまだまだ不充分です。その不充分な中でも何とか指導してきたのが、これまでの経緯です。

そんな教育現場に、司書が同乗した図書館車が学校に巡回されると、受け持つ生徒が少しでも成績を上げさせるよう指導する為に、熱意ある教師は積極的に司書に相談やアドバイスを受けながら、図書を教育ツールとして活用し、そこから担当生徒が本に興味を持ち始め、本に慣れ親しんでいくという成功例が出来上がります。あまり図書に関心のない教師はそのまま放置すると、同じ学年でも学力に大きな差が生じたり、生徒の中にはカラフルに彩られた図書館車に関心を見せ、そこから本に興味を持ち始めて、先生にせがんできて、ようやく先生も重い腰を上げて図書を利用してゆきます。そのようなサイクルから教員自身の指導力や学力が向上し、その結果、生徒の識字率向上にも大きく貢献できるのです。

つまり、初等教育の識字率向上には、教師が如何にやる気を持たせ、図書を活用し、教育指導力をレベルアップさせることが出来るかが大きなキーとなりますし、併せて、教師自身のスキルアップにも移動図書館車プロジェクトは大きく貢献しています。

 

教育省が運営管轄することにより、管理体制のレベルアップにも寄与でき

 


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移動図書館車活動は各州の教育区の担当者が実際に運営管理しています。私たちは運営支援の為の金銭支援は一切していません。しかし、Sapesiでは車両寄贈が出来るまでの取得、実際の運営システムの構築や実務のノウハウやアドバイスは私たちも全面支援しています。

その為、移動図書館車を運営する教育省の方たちは、予算の策定、予算管理、事業担当者の採用から人事権、車両管理など全て、現地の教育省スタッフの手に委ねられ、コミットメントを交わして一緒に移動図書館車活動を行っています。

つまり、この移動図書館車プロジェクトの実際の実務は、「南アフリカ人の、南アフリカ人による、南アフリカ人の為の事業活動」ですので、彼ら自身が運営管理システムの構築から実際の実務処理を行うことにより、「自立化」した運営体制を行っています。このプロジェクトは教育省実務担当者にとって、運営や管理を「自立化」することにより運営や実務ノウハウのスキル向上にも貢献しています。

 

資源の再活用としての移動図書館車活動

 

これは日本側の期待される効果ですが、未だに車両コンディションは概して問題なくても、自治体の諸事情や車両更新等の理由で、今まで地域で活躍した移動図書館車を手放すこととなります。致命的なクルマとしての機能不具合や故障、及び車齢が20年以上という古い車両でない限り、廃車処分することはとても「もったいない」と思いますし、同時に廃車費用も財政より計上されます。

日本で生まれ、現在アフリカ大陸全体で流行っている言葉「もったいない(Mottainai)」という発想から、資源の再活用として南アフリカに中古の移動図書館車を寄贈することは、その自治体の国際親善や国際協力活動に留まらず、資源リサイクル活動という観点からも非常に大きな成果となりますし、また財政の経費削減にも貢献します。この移動図書館車の無償寄贈は、自治体や地域住民にとって、まさに「一石三鳥」の成果が得られます。

またこの活動は南アフリカ政府が重要懸案事項として掲げている「教育問題」に対して、期待に充分答えることが出来る活動です。

そして目に見えて分かりやすく、確実に実績が向上される活動であるので、政府だけでなく、経済界も、起業も、そして南アフリカ国民全体が将来の識字率の向上に対して強い関心を持っています。

以上を要約すると、次のような成果がこの活動を通じて期待されます。

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《期待できる効果》

1. 南アの国家的課題である初等教育(Basic Education)向上への貢献できる。
・共通課題認識である「識字教育」への貢献
・カラフルな図書館車が遠隔地、都市近郊部の小学校に定期巡回
(各学期に2回×4学期=8回学校に訪問)
・同乗司書による低学年担当教員へ図書活用の指導
・具体的かつ目に見えて活動効果が分かり易い 

 

2. 南ア初等教育省、各州教育庁からの強い期待と要請に応えられる。

 

3. 南アマスコミも含めた児童の識字能力向上への国民の強い関心が高まる。

 

4. 2010年サッカーW杯によるアフリカ全体への世論喚起につながる

 

5. グローバルでの資源リサイクル活動として評価される。Global Recycling Activity